デスクワークは胃腸にわるい!?免疫力と鍼灸治療の役割
こんにちは。
ブログをご覧いただきありがとうございます!
毎週、さまざまな情報をお伝えしています。
今回は、先日お伝えした免疫力UPから、さらに深堀りして胃腸の働きについて、鍼灸の役割とともにお伝えします。
胃腸の働きってなーに?
・西洋医学の視点での胃腸の働き:
- 消化機能: 胃は主に消化を担当します。食べ物が胃に入ると、胃液が分泌され、その中の酵素や酸が食べ物を分解し、栄養素を吸収可能な形に変えます。十二指腸では、胃からの食物が膵液と胆汁と混ざり、更なる消化が行われます。
- 栄養吸収:小腸が主に栄養素の吸収を担当します。消化された食物の栄養素は、小腸の壁を通って血流やリンパに吸収され、体内に供給されます。
- 排泄機能: 大腸は水分を吸収し、未消化の物質を形成して腸内容物を濃縮します。便は直腸に蓄積され、適切なタイミングで肛門を通じて排泄されます。
- 防御機能: 胃の酸や腸の粘膜は、外部から侵入する細菌やウイルスなどの病原体から体を守る役割を果たします。免疫細胞も腸に存在し、体内外からの異物に対抗します。
- 神経制御: 胃腸は自律神経によって制御されており、交感神経と副交感神経がバランスを取りながら働いています。食事の刺激やストレスなどが、神経系を介して胃腸の動きに影響を与えることがあります。
・東洋医学(主に中医学)の視点での胃腸の働き:
- 消化機能: 東洋医学では、脾(ひ)と胃は食物の消化と吸収に関与しています。脾は食物をエネルギーに変換し、胃は食物を受け入れて初めの消化を行います。
- エネルギーの生産:東洋医学では「気」というエネルギーの流れが体内を巡り、そのバランスが健康を保つとされます。脾と胃は食物から気を生成する役割があり、これが体全体のエネルギー供給に関与します。
- 排泄機能: 大腸は「大腸経」と呼ばれ、水分を吸収することで体内のバランスを保ち、不要なものを排泄します。東洋医学では、大腸は感情や精神的な影響にも関与していると考えられています。
- 経絡との関連: 東洋医学では、経絡と呼ばれるエネルギーの流れが体内を巡り、脾と胃もこれに関連しています。経絡のバランスが乱れることが、症状や不調の原因とされます。
- 食物の性質と五行説: 東洋医学では、食物は五行説に基づいて性質が分類され、バランスのとれた食事が健康に寄与すると考えられます。たとえば、辛い食べ物は暖める性質があり、寒さを感じる人に適しているとされます。
西洋医学と東洋医学は異なる枠組みや理論を持っていますが、どちらも健康維持と病気の治療において有益なアプローチを提供しています。個々の状態に合わせてこれらの視点を組み合わせることが、総合的なケアに欠かせません。
長く座っていると胃腸に悪い!?
東洋医学では、長時間続くと身体(内臓)の負担となってしまう所作5つを、五労と称して現代にも伝えられています。その中で黄帝内経という古文書には、「久しく坐ると肉(胃腸)を傷る」という言葉があります。これは、長時間座っていると脾肉、つまり胃腸を痛めてしまうという意味です。
現代で言えば、座り仕事・デスクワークがあまりに長く続いてしまうと、胃腸に負担となってしまうと言うことです。座るという動作は、お腹を自然に圧迫してしまい、脾臓、膵臓など胃腸を圧迫してしまうこともあるでしょう。また、じっと座っているということは、身体を動かすことも少ないので、エコノミー症候群のように血流も滞りやすいです。
東洋医学では、他にも独特な考え方があります。
胃腸の働きはバリア機能
東洋医学では、衛気といっていわば全身を包みこむように存在するバリア機能があると考えています。このバリア機能は、邪気(現代でいうと病原菌やウイルスなど)から身体を守り、皮膚表面や粘膜のバリア機能を高めます。そして、胃腸の働きに影響されると言われています。皮膚表面と胃腸の働きは、現代医学でも共通した理論もあります。
それは、「ニンゲンちくわ理論」です。ちくわ理論は、人体の構造を大雑把に説明した理論で、真面目な医学書や生理学の健康書籍など、数々のテキストや教科書に掲載されています。ニンゲンの身体は、ものを食べる口という消化器から始まり、排泄に終わることから、入口と出口が決まっている、ちくわみたいなものだ、という考え方です。大雑把ではありますが、わかりやすく、現代医学の基礎である生理学では、ほとんど必ずこの理論を教わると思います。
そのちくわ理論で考えると、皮膚も胃腸も、内と外に別れてはいますが、どちらも人体にとっては皮一枚で繋がっている、と考えることができます。ですから、皮膚のたった一点あるツボに刺激を与えただけで、胃腸・消化器、はたまた循環器へ作用させることができるのです。実際、アレルギー性鼻炎やアトピー体質の方は、知らず知らずに胃腸に負担があることをしている可能性もあります。
では、ちなみに、その胃腸に悪影響となる3つの要素をご存知ですか?
三大胃腸に悪いものとは?
よく言われる、東洋医学で言われる三大胃腸に悪いものとは、次の3つです。
- 脂っこいもの
- 甘いもの
- お酒やアルコール
他にも、辛いものは刺激物となり、胃腸にあまりよくないとされています。あまりにも辛いと、お腹を下してしまうこともありますから、それは皆さん容易に想像がつくと思います。
食べ過ぎたり、高脂肪食が続くと、脂肪肝になります。昨今では、健康診断などの数値では大丈夫でも、隠れ脂肪肝と言うものがあるそうです。そして、以前老化についてお伝えした際に、この脂肪肝・高脂肪食が続いてしまうと「ビリオン」と呼ばれるタンパク質が増加してしまい、オートファジーが低下してしまうとお伝えしました。
そうです。オートファジーが低下するとは、若返るどころか一気に老け込んでしまう可能性もあるのです。
そして高脂肪食は、胃腸どころか肝臓にまで負担を増やし、その肝臓がじつは腰痛を作ってしまっていることもあるのです。
肝臓が腰痛の原因である?
内臓-体制反射、と言う言葉を聞いたことはありますか?
内臓に異常が起きていると、問題のある臓器周囲の筋肉が過度に緊張してしまったり、一見すると関係がない部分に猛烈な痛みを発生させてしまうことがあります。
それが内臓-体制反射です。
言い換えれば内臓からお身体表面に、危険信号を発生させている、とも言えます。
意外かもしれませんが、腰痛の原因の一つにこの内臓-体制反射があります。つまり、不摂生がつのると身体が悲鳴をあげてくれるシステムとも言えます。そんな時に、肝臓は沈黙の臓器とは言いますが、まれに腰痛として肝臓が「痛み」信号によって私たちにサインを送ってくれているのです。サインがないと、気が付きにくいかもしれませんが胃もたれや胸やけなどは比較的、日常で感じるサインの一つと言えます。
そんな時に、体の中に補っておきたいものがあります。
消化酵素は補給できる?
それは消化を助ける酵素です。
本来、消化酵素は、体内で食物を分解し、栄養素を取り込むために、消化器官で産生されます。これらの酵素は、特定の食物成分(たんぱく質、脂質、糖質など)を分解し、体内で吸収可能な形に変換します。以下は、主な消化酵素とその働きについての例です:
1. アミラーゼ(Amylase):
– 働き: 糖質を分解する酵素で、主に唾液腺と膵臓で産生されます。
– 作用: 主に炭水化物を構成するでんぷんや糖を小さな単糖(ブドウ糖、マルトースなど)に分解します。
2. プロテアーゼ(Protease):
– 働き: たんぱく質を分解する酵素で、主に胃と膵臓で産生されます。
– 作用: タンパク質をアミノ酸やペプチドに分解します。
3. リパーゼ(Lipase):
– 働き: 脂質を分解する酵素で、主に膵臓で産生されます。
– 作用: 脂質をグリセリンと脂肪酸に分解し、これによって脂肪が吸収可能な形に変換されます。
4. ラクターゼ(Lactase):
– 働き: 乳糖を分解する酵素で、小腸で産生されます。
– 作用: 乳糖を単糖であるブドウ糖とガラクトースに分解し、吸収可能な形にします。
5. セルラーゼ(Cellulase):
– 働き: 植物の細胞壁を構成するセルロースを分解する酵素で、一部の微生物が産生します。
– 作用: セルロースを単糖に分解し、吸収可能な形にします。ただし、人間の体内では限られた量しか産生されません。
これらの消化酵素が効果的に機能することにより、食物は体内で吸収可能な栄養素に変換され、エネルギー供給や細胞の機能の維持に利用されます。消化酵素の不足や活性の低下は、消化不良や栄養吸収の障害などの問題を引き起こす可能性があります。また、胃腸の働きに問題ないと言う方でも、食べ過ぎたり、飲み過ぎたりすると酵素を多く必要とします。すると、内臓に余計な負担となってしまい、そのダメージが身体を癒し、回復させる能力を妨げることがあります。
ですから、健康な人であっても消化を助ける酵素を摂る方が、自身の酵素を消耗しない≒内臓を休めることになり、治療を進める時に非常に役に立ちます。
鍼灸との組み合わせ
2001年に野口らは、すでに1976年のSatoらが鍼灸による小腸の働きを抑制したり高める(つまり調整する)ことを示唆していることを示し、様々な文献から鍼灸が消化器官の機能を適正に調整しうる可能性を指摘しています。例えば、野口らは胃液分泌が増加したり、逆に過剰な場合は抑制されたりと、いわゆる自律神経が鍼灸によってうまく調節されることで胃腸・消化器の働きが整うことを示唆しています。
これは臨床上では、日頃から常に起きていることです。例えば、身近なことでいうと、いわゆる自律神経の乱れが起きていると、お通じがでなくなる便秘症となります。そこで、脈診や腹診をした上で胃腸のツボに鍼をすると、施術中から身体がポカポカし始め、慢性的に冷え症状がある方でも血流がよくなっていることを実感します。そして、施術直後や帰宅してすぐにお通じスッキリすることがよくあります。
逆も然りで、身体が疲れ切ってしまっていると、胃腸が疲れてしまい重たい、という症状を訴える方もおられます。しかし、施術直後から疲労感が抜けて、心身ともにスッキリすることで体力とともに食欲や胃腸の働きが整います。そうすると、お仕事や子育て、大切な人との時間がさらに豊かになりますよね。
まとめ・東洋医学(当院)の特徴
一般的に医療機関での治療は、症状に対して万人に共通する有効エビデンスのあるものが確立されています。薬物療法や生活指導などがそれですね。
しかし、東洋医学の視点からすると、似たような症状であっても一人一人その発生機序が異なる場合があるため、いわゆる西洋医学だけの考え方では身体構造や人のこころ・感情といった心理面を理解したり、起きているお悩み現象を説明できなかったり、根本解決に至らないことも多くあります。
当院では、腰痛は筋肉・骨格・神経の炎症反応ということを前提に、免疫力つまり血流循環や自律神経など、体内のエネルギー・バランスの乱れが起きていないか捉えることも大切にしています。
何事も、1つだけの視点では誤解や勘違いが起きてしまいますが、2つ、3つと視点を重ねてみることでより正確に物事の事象を捉えることができます。
そうすると、より問題解決が正確かつ迅速に行うことが容易になります。
当院の腰痛改善率はじつに91%、Googleクチコミは5段階で4.8と大変ご好評をいただいております。
それはただ表面だけでなく、血流循環や自律神経など、お身体深部のエネルギー・バランスの不調を同時に調整しているからです。
今後も、みなさんの健康を第一に考え続ける、【心と身体の生涯パートナー】として頑張ります!
何か気になったことがあれば、お気軽にご相談ください!
《あなたの人生をより豊かにする》
「心と身体の生涯サポーター」
Olive Garden 鍼灸整体院
Tel:050-3595-5217
院長 渡邉聖矢
引用文献
1週間で勝手に痩せていく体になるすごい方法(日本文芸社,栗原毅,2022年12月)
内臓痛・消化器機能・消化器症状に対する鍼灸の効果( 2001年,野口栄太郎)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam1981/51/4/51_4_466/_pdf
Sate, -Y. et al., Changes in duodenal motility produced by noxious mechanical stimulation of the skin in rats. Neurosci. Left., 1976;2:189-93.
Li S R, You S Z, Zhang S L. The research of a new way to apply laser acupuncture. Chen Tzu Yen Chill. 1988,13(3):179-83.
鍼灸治療が末梢循環に及ぼす影響とその作用機序について (2019年,木村)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ans/56/3/56_146/_pdf
鍼灸治療が自律神経機能に及ぼす効果(2008年,小杉)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam/58/5/58_5_742/_pdf/-char/ja
鍼灸の作用機序から神経内科領域の可能性を探る(2012年,伊藤ら)
https://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/052111294.pdf
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胃腸は忙しい消化酵素も多種多様(2010年8月 中西載慶)